重力・電気探査技術

重力探査

重力が示す値は、場所によって微妙に異なることが知られており、その原因のひとつが地下の地質構造であることがわかっています。つまり、地下に密度の大きい物質がある時や堅い岩盤が浅いところにある場合には重力値は大きく、逆に密度の小さい物質や岩盤が深い場合には重力値は小さくなります。

重力値を精密に計測することで、地質構造を推定する探査を重力探査と言います。

下に示す図は、大阪平野で行われた重力探査の結果をもとに、基盤岩が分布する深さを推定して表したものです。生駒山や北摂山地などの平野を囲む山々では、基盤岩が地表に表れていますので、通常の地形を示していますが、平野の地下では海水面からの深さが表現されています。この図に示すように、大阪平野ではそのほぼ中央部を馬の背のように南北方向に基盤岩の浅い部分があることがわかります。また、平野北部の千里丘陵でも基盤岩が浅くなっていることが示されています。その元になった地質構造が上町断層帯にあたります。

重力により得られた基盤岩標高分布の3D表示大阪平野の活断層図
重力により得られた基盤岩標高分布の3D表示(▲ 右上図はクリックして拡大図がご覧いただけます。)

鳥瞰図は重力探査から推定された基盤岩面を南および南西上空から見下ろしたものです。
(高さ方向に5倍強調)

電気探査

電気探査は、比抵抗などの地盤の電気的特性が、地盤の種類や状態さらに地下水の分布などによって異なる性質を利用した地盤調査法です。地下水の分布が重要な要素となる地すべり調査や、トンネル地盤調査にも適用されています。

電気探査は下図のように、一定間隔に配置した電極から地盤内に交替電流を流した時に形成される電位分布を測定する方法です。電位の測定値と地盤に流した電流の比、すなわち抵抗値と電極間隔から地盤の比抵抗値(Ohm・m)を求め、解析を行うことにより地盤の比抵抗の分布を求めます。得られた比抵抗値から表に示されるように地盤の状況を把握できます。

電気探査の仕組み図
電気探査の仕組み表

■ 水みちを見つけ出す。(電気探査の応用事例)

地すべりや斜面崩壊は水みちと呼ばれる地下水の流れ道が関連しています。
水みちを知ることは地すべりや斜面崩壊の防止対策上極めて重要です。

次に示す事例は地すべり地帯の水みちを、電気探査を応用して把握したケースです。
地盤の比抵抗値は地下水に電解質が含まれると大きく低下します。この性質を利用して地すべり地の上方に希釈した無害な電解質(硫酸マンガン水溶液)をトレーサーとして注入し、下流側に設置した測線において約10日間隔で3回の電気探査を行い、地盤の比抵抗の変化を初期値と比較しました。図はそれを示したものです。領域A,B,Cの3か所の比抵抗が変化し、特に領域Cに顕著な変化が見られ、水みちの存在を表しています。
このようにして把握した水みちをねらって排水ボーリングを実施して地すべり対策の一環とします。

水道追跡図