物理検層技術

各種(物理)検層について

物理検層の仕組み図

物理検層は、掘削した孔井内に各種測定器(検層器)を降下させ、検層器から得られる物理量を用いて、地層中の地質情報を連続的に計測する技術です。

検層の種類には、着目する物理量によって速度(PS)検層、密度検層、電気検層、温度検層など多種にわたり、調査目的に応じて行われています。

次項では阪神コンサルタンツの物理検層技術から、「速度(PS)検層」「密度検層」「電気検層」について、順にご説明します。

(※右図をクリックすると拡大図をご覧いただけます。)

速度(PS)検層

速度(PS)検層は、単一のボーリング孔を利用して、地盤内に伝わる弾性波の速度を測定する技術で、受振器へ最初に届く弾性波(初動)の速度から地盤内の弾性波速度分布を求め、地山岩盤や土質地盤の力学的特性を評価します。

測定方法は、震源(起震)と受振位置の配置により下記の3種類等に分類できます。

  1. ダウンホール法  (陸上起震、孔内受振)
  2. アップホール法  (孔内起震、陸上受振)
  3. サスペンション法 (孔内起震、孔内受振)
速度(PS)検層

ダウンホール法はボーリング孔中に地震計を設置して、孔口の直近に震源を置きます。(これはVSP探査の特別なケースに相当します。) 使用する孔中地震計は、DDS150とDDS250の2種類をボーリング孔内の状況に応じて使い分けています。また、これらの孔中地震計を連結させて最大765mの区間(地震計は15m間隔)のデータを同時に収録することができ、大深度ボーリング孔での検層も短い日数で測定することが可能です。

(※左図をクリックすると拡大図をご覧いただけます。)

アップホール法は孔中の震源を設置し、坑口付近の地表で受震する方法です。あまり一般的ではありません。

サスペンション法は発震部と受震部を連結したゾンデと呼ばれるものを孔中に降下させながら測定する方法です。受震部は等間隔の複数のセンサーで構成する場合もあります。

密度検層

密度検層とは、ボーリング孔を利用した物理検層の一種で、原位置における地層の密度を測定する方法です。ボーリング孔に挿入する観測装置には、放射線源(セシウム137やコバルト60など)とガンマ線測定センサーが内蔵されています。

密度検層

密度検層は、ガンマ線の散乱減衰を利用したもので、放射線源から放出されたガンマ線はコンプトン散乱や光電効果を繰り返したのち、ガンマ線測定センサーにて線量が計測されます。あらかじめ密度が既知の岩石を用いてガンマ線量の大きさを測定(キャリブレーション)しているため、現場計測では逆に、測定されたガンマ線量から密度を求めることができます。

電気検層

電気検層とは、ボーリング孔壁を構成する地層の比抵抗値を連続的に測定する方法です。土の比抵抗値は、地質状況(粒度・固結度等)、帯水層及び透水性の判定に有効な物性値で、単位断面、長さ当たりの抵抗をいいます(単位:Ω・m)。

計測は、通常、孔底より一定速度で引き上げながら連続的に行います。

火成岩類の比抵抗は高比抵抗造岩鉱物の石英、方解石を多く含む花崗岩、閃緑岩等が比較的高い値を示します。岩石に含まれる水分、風化による含水比の増加、及び低比抵抗の黒鉛、鉄鉱石等の副成分鉱物含有率の増大で大きく低下します。

堆積岩は一般的に塩分を含むため、比抵抗値は塩分濃度及び含水量を増すごとに大きく低下します。

電気検層

■ 物理検層の実例

京都盆地で行った、深さ350mのボーリンク孔(KD-1)で実施した各種の物理検層の事例を次の図に示します。

  1. 図中カラーの柱状図の左のグラフはボーリングの孔径の変化を示しています。柱状図には地層名などが記載してあります。
  2. 柱状図の右側は速度(PS)検層(サスペンション法)の結果得られたP波速度(赤)
    S波速度(青)のグラフです。
  3. その右欄は密度検層結果です。
  4. 右端のグラフは電気検層の結果得られた地層の比抵抗を示します。

速度(PS)検層・密度検層の結果は深度222mより深い部分では値が大きくなり基盤岩の性質を示していることが分かります。この結果は京都盆地の3Dモデリングの作成にあたって重要なデータとして用いられました。

京都盆地で行った、深さ350mのボーリンク孔(KD-1)で実施した各種の物理検層の事例

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※別ページに関連項目があります。

3Dモデリング技術